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■2回目、見てきました
やっぱり劇場版は画面に詰め込まれた情報量がやたら多いので、新しい発見があります。
ってか、最初に観た時、最前列の席(席番25という、なんかマクロスFらしい番号でした)だったので、やや後方の席から画面全体を見渡してみました。
はー、やっぱりシェリルがかっこいい♪
アルトはヒーローだし。
ランカちゃんは開拓中だし。
もう一度ぐらい、観ようかしら?

■梅田のヨドバシカメラでは
大阪のヨドバシカメラ大スクリーンで、May'nさんが熱唱!
そうか、今日はブドーカンライブのブルーレイディスク発売日だったんだ。
なんか漲ってきましたよ!

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2009.11.27 
“アストライアー1、現在位置を報せよ”
新統合軍フロンティア艦隊に所属するパイロットのメロディ・ノーム中尉はスロットルを開き、愛機を加速させた。
「エンジェル・エンジェル、こちらアストライアー1。ガスジャイアントの向こう側に回りこんでいます。目標を追尾中」
メロディは、資源輸送航路を荒らす海賊船を単機で追撃していた。
司令部へ精密な現在位置を送信すると、装甲キャノピー越しに海賊船を見つめる。
未だ命名されてない、土星型ガスジャイアント惑星の近傍宙域は、惑星を囲む氷の輪や、衛星の軌道が絡み合う複雑な空間構成だ。
海賊船は、この惑星を知り尽くしているらしく、コース取りに迷いが無い。
加速性能では遥かに優越している筈のVF-31でさえ、微小天体に阻まれて距離を詰められずにいる。
「エンジェル・エンジェル、目標はガスジャイアント大気圏に突入する模様。こちらも突入して、追撃を続行します!」
“待て、アストライアー1。VF-31と言えど、ガスジャイアントの大気中で長時間の追撃は無理だ。増援を待て”
「今まで目標を取り逃がしてきたのは、この惑星に隠れてたからです。ここで逃すわけにはいきません。可能な限り追尾しますので、増援の手配を願います」
VF-31は可変翼を折りたたみ、大気圏内での高揚力飛翔モードになる。
海賊船は、ひと足先に褐色の雲の下へと潜り込んでいった。
メロディもためらわずに続く。

ガスジャイアント惑星の大気は、ほどんどが水素ガスだった。次にヘリウムが多く含まれ、メタンなどの炭化水素、水も含有している。
惑星の直径は地球の10倍ほどもあるのに、自転周期は10時間。
高速で回転しているため、大気圏も荒荒しい気流に支配されている。

「くっ……視界が…悪い」
メロディは薄暗い大気圏内で、10Gの重力に耐えていた。
可視光ではほとんど見通せないので、キャノピーには赤外線映像を表示させている。
大気の化学反応と惑星自身が生み出す熱量で、視覚的に前方を見通せるようになった。
「海賊船は…?」
水素とヘリウムの雲、早い気流が生み出す大規模な落雷、そういったものに阻まれて、敵の姿を見失っていた。
「何か痕跡が……」
目を凝らしていると、警報が鳴り響いた。
「どこからっ?」
後ろ上方から、ミサイルの熱源反応。
メロディはミサイルの狙いをそらすために、フレアを三発射出。高重力と強風に悩まされつつ、回避行動をとる。
フレアは高熱と赤外線をふりまきながら、メタンの風に流されていく。
ミサイルはフレアに命中。
その瞬間、後方に海賊船の反応をキャッチ。
「そこっ…」
インメルマンターンを決めて、海賊船に機首を向けるが、逆風で思ったように速度が出ない。
その間に海賊船は水素の積乱雲の中に紛れてしまった。
「ガスジャイアント大気圏内用の探査船をベースにしているのね…」
海賊船は特殊な環境に適応し、活用していた。戦意も十分なようだ。
メロディは、積乱雲の周囲を旋回して海賊船の航跡を探す。
VF-31の今の装備では、吹き荒れる積乱雲に突入できない。主要な武器の一つ、マイクロミサイルもこの大気圏内では性能を発揮しきれない。
再び警報。
今度は下方からミサイル攻撃。
「くっ…ぅ」
バレルロールしながら、レーザー機銃で迎撃した。
続けざまの警報。
次は上方からミサイル。
メロディは、残ったフレアを全弾発射して回避した。
「ミサイルも、この星専用…ね」
海賊船は、惑星近傍の宙域だけではなく、気流も知悉している。
VF-31が装備している最新鋭のレーダーや、センサーも通用しない。
「敵は、どうやってこちらを見つけているの?」
この環境で通用するセンサー、どんなものだろうか。
いつ、次の攻撃が来るかも知れない状況で、メロディは打開策を模索し続けていた。
(お父さんなら…イサムさんなら、どうするのかしら?)
メロディにとって尊敬するエースパイロット達――父親である早乙女アルト、伝説の撃墜王イサム・ダイソンだったら、どんな風に行動するのか想像してみた。

「どうやってこちらを発見していたのですか? レーダーも利かない、深い渓谷の底に隠れていらっしゃったのに」
メロディは、惑星エデンで行われたDACT(異機種間戦闘訓練)の後でイサム・ダイソンに質問した。
「そこはベテランの勘ってヤツさ……って、これは冗談。ホントはね、耳で見つけたのさ」
イサムは少しばかり自慢げに答えてくれた。
「耳?」
「ああ。普段、音なんて気にしないだろ? 宇宙じゃ無音だし、大気圏内も音速でぶっ飛んでるからね。それでも、バトロイドモードで遮蔽物に隠れている時は、けっこう頼りになる」
「耳を澄ませて待ち伏せしてらっしゃったんですね」
メロディに向けて、イサムはウィンクした。
「時々、空に居る時も、エンジン止めて風の音に耳を澄ましてみるといいぜ。下から反射してくる音の時間で、上空と下の気温差が判ったりね。そんな僅かな違いを知っているかどうかで、生死が分かれることもある」

メロディはイサムの言葉を思い出し、VF-31に音声コマンドで命じた。
「音響センサー、敵船の推進音を識別できる?」
「ポジティブ」
「良い子ね。推進音を探して。予想進路を図示」
「ラジャー」
キャノピーの内側に、赤外線映像に重ねて音響センサーが拾った音源の位置を重ねて表示させる。
「これはっ?」
反応は七つ。積乱雲の向こうから回り込むようにしてVF-31を目指している。
「仲間? それとも、さっきのミサイル? 外部音をコクピット内で再生。自然の音はマスキングして」
スピーカーから、微かな噴射音が聞こえてくる。
七つの音源を聞き分けようと、メロディは必死に耳を澄ませた。僅かに低い音を出している目標がある。
「ターゲットNo.3を敵船と仮定。最適の迎撃機動を計算してちょうだい」
「ラジャー。マニューバー、スタート」
機体をバトロイドに変形させ、振り返る。
積乱雲の中から飛び出してきたミサイル群を迎撃。
少しずれたタイミングで雲の中から飛び出してきた海賊船は、メロディの手際の良さに戸惑ったようだ。
ファイター形態にシフトしたVF-31は海賊船の後ろ上方に遷移。ガンポッドの狙いを定める。
「抵抗は無意味だ! こちらの誘導に従い、大気圏外へ向いなさい!」

母艦に帰投したメロディは、自室で戦闘詳報をしたためた。
「これで良し、と」
書きあげて上官へと軍用ネットワーク経由で提出し、ふぅと背伸びする。
海賊船は増援部隊によって無事に拿捕された。
戦闘詳報を読み返しながら、ふと考える。
(こんなに一生懸命、音を聴いたのは、いつ以来なのかしら?)
回想しているうちに、子供の頃に母親であるシェリル・ノームが弾くピアノで和音を当てるゲームをしたことを思い出す。
シェリルは、メロディは音感が良いと褒めてくれた。
(お母さんのお陰ね)
部屋に備え付けられた情報端末のカレンダーに目をとめると、今日は銀河標準時で11月23日。シェリルの誕生日だ。
慌てて携帯端末を取り出し、メールをしたためる。
“お誕生日おめでとう。詳しくは書けないけど、一仕事やり遂げました。お母さんの娘に生まれて良かった。メロディより”
一度、文面を読み返して送信。
ゼロタイム・フォールド通信網が発達しているから、シェリルの元に届くまで、それほど時間はかからないだろう。
「プレゼント、探しておかないと」

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2009.11.23 
■業務連絡
アルバムジャケット撮影』へ拍手を頂いた方へ、パスワードを進呈したいのですが、メールアドレスが記入されてません。拍手などで、お知らせください。

■劇場版未見の方は…
何やら、掲示板の情報とかで戦々恐々とされている由。
大丈夫ですって、ご覧になって損はありません。
アルシェリデートは、とことん愛らしいですし。誤解からアルト君がシェリルを突き飛ばしてしまうシーンもあるけれど、その後でアルト君、体を張って歌うシェリルを守って、カッコイイですもの。
思えば、TV版って、アルトがランカちゃんを助けに駆けつけるシーンが多かったですけれど、シェリルに向かっていくシーンって、実は少なかったですよね。

■ちょっと備忘録
アクロバットのイサムごっこ→マクロスプラス
シェリルの「私の歌を聴けぇ!」→マクロス7のバサラ
重力発生機関にダメージで路駐している車がフワリ→超時空要塞マクロス
アルトがバジュラの弾幕回避→マクロスプラスのガルドっぽい?
アルトがバジュラのミサイルを水面ぎりぎりで回避→超時空要塞マクロスのマックスっぽい?
アルトがランカをさらったバジュラを追撃→マクロスゼロの鳥の人に取り込まれたサラを追うシン

2009.11.22 
■見てきましたよ、劇場版
21日は仕事でしたので、夕方の上映回なら観れるだろうと思ってました。
ところがっ、いざ劇場に行ったら、満席で入れないとのこと。仕方なくレイトショーを観ることに。だから、絵ちゃの開始時間を遅らせたんですよねー。
三連休の初日でしたし、出足は好調みたいです。
地域によっては空いていた映画館もあるそうです。
映画の感想については、ネタバレの部分もありますので、追記に折りたたんでおきます。

■最速絵ちゃ、おつきあいありがとうございましたっ
k142様、kuni様、なまけもの(旧でるま)様、紗茶さま、もこ様、楽しい時間をありがとうございました。
まだまだ語り足りない劇場版、またおしゃべりに付き合ってやってください。

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2009.11.22 
(承前)

惑星シュクールダール。
その大気圏を航行する観測船『ラブレン』で発生した異常事態を確認するために、クランクランが操縦するクアドラン・ローはラブレンに乗り込んだ。
ラブレンを統べる人工知能は異常無しの定期連絡をしていたが、乗員の姿が見当たらない。

巨人形態のクランクランは、狭所探索用プローブから転送されてきた船内の様子に警戒レベルを上げた。
乗員は、日常の業務を行っている最中に、どこかに消えてしまったようだ。争った形跡は無いので、自発的に船外へ移動したと思われる。
しかし、船内格納庫にある民生用VF-11や輸送機類に不足はない。
状況が指し示すのは、ラブレンの乗員達は、体一つで船外に移動した、ということだ。
地表2000m前後の高度を航行している観測船から、どこに移動できるというのか?
推理小説じみた状況に、クランは拳銃のグリップを握りしめ、銃口を上に向けた。人差し指は、まだトリガーにかけない。
「現在まで判明した状況を、運輸通信省へ送信せよ」
クァドランに搭載されたコンピュータへ、音声コマンドで命じた。データは、大気圏外で待機している母船ダンデライオン4930を経由して、フォールド通信で送られるはずだ。
「……もう少し、手がかりが欲しいな」
ラブレン船内はマイクローンサイズなので、巨人形態のクランが行動できる場所は限られている。
とりあえず、格納庫内部を調べてみることにした。
手順どおりに、きちんと固定されているVF-11の周囲をぐるりと回り、機体の下を覗き込む。
「あ」
そこにはビデオカメラが転がっていた。
観測機材の一つなのだろう。耐真空/高圧仕様の頑丈なモデルで、宇宙でも深海でも使用できるものだった。
クランは手を伸ばして拾い上げる。
ケーブルとコネクターがマイクローンサイズなので、少しばかり手間取ったが、パイロットスーツとカメラを接続した。
カメラのバッテリーは切れていたが、ケーブル経由で充電できる。
しばらくしてから、内部に残っている画像を再生させた。
「ふむ…」
ヘルメットのバイザーに投影させた画像は、シュクールダールの地表を空撮したものだった。
プロトカルチャーの影響を受けていない、見慣れぬ植物で覆われた森林地帯のようだ。
やがて、撮影者を乗せた機体は、森林地帯から海上へと飛行する。
青い海面に光の筋が浮かび上がる。先ほどクランも目撃した現象だった。
「…この星、特有の自然現象なのか?」
場面が切り替わった。
ラブレンに帰投した後らしい。背景は、この格納庫だった。
叫び声が記録されている。
“誰だっ!”“そんな……”“母さんなの?”
画像が震えていた。持っている人間の手が震えているらしい。カメラに備わっている手ブレ補正機能が追いつかないほどの震え。
「何が?」
クランは目をこらした。
画像には、この船の乗員たちが動揺している姿が映し出されていた。
呆然と立ちすくむ者。
手で顔を覆う者。
ふらふらと前に足を踏み出す者。
画像は撮影するアングルを変えようとしたところで、激しく揺れた。
撮影者がカメラを落としたのだ。
床に転がり、横向きに傾いた画像。
一瞬だけ映し出されたのは、そこにいる筈のない人々だった。
「誰だ?」
少なくともラブレンの乗員ではない。
ユニフォームを着ていない。
まるで統一の取れてない服装の老若男女。
普段着姿の者も居れば、軍服を着ている者も居る。しかも、その軍服は統合軍時代のものだ。現在の新統合軍に改組されてからの軍服とは違う、古めかしい形。
ここに居る筈の無い人々。
そこで、クランは視線を転じた。
映像ではなく、たった今、格納庫から外部を見るための観測窓から光が差し込むのを目にした。映像にも記録されていた、海中の発光現象と同じ色合いの光だ。
「何っ?」
クランの全身を悪寒にも似た感触が走り抜ける。
周囲に素早く目を配る。
背後から声がした。
「クラン」
反射的に振りかえり、拳銃を構えるクラン。
「!」
その姿勢のまま息を飲んだ。
「おいおい、そんな物騒な物しまえよ」
忘れもしない。ブロンド、眼鏡のレンズ越しに見える緑の瞳、笑顔。あの時のまま、美星学園の制服姿で。
「…ミシェル
呆然としたまま、彼の名前を呼ぶ。
「クラン」
こちらに足を踏み出してきた“ミシェル”に向って、クランはトリガーを引いた。
ミシェル”は素早く伏せて、VF-11の影に隠れた。
「何すんだよ!」
「お前はミシェルじゃない!」
クランは油断なく銃を構えながら、クァドランの方へ後退する。
この“ミシェル”はクランを守って戦死した時のままだったが、たったひとつ違うことがある。身体がゼントラーディサイズだ。
「俺はミシェルだっての……お前が望んだままの」
クランの足が止まった。
「どういう…ことだ」
食いしばった歯の隙間から、絞り出すように言った。
「言ったままだ。俺は、お前が望むように、ココに居る」
“ミシェル”の言葉が、クランの胸を切なく疼かせた。
幼馴染でありながら、クランとミシェルは最後の瞬間になるまで互いの気持ちを確かめられなかった。それにはいくつかの原因があるが、最も大きな障壁に二人の特異体質があった。
ゼントラーディサイズの時は年齢相応の女性の姿であっても、マイクローン化すれば幼い少女になってしまうクラン。
一方で、ミシェルは辺境惑星ゾラ先住民の血を引くという遺伝形質のために、ゼントラーディサイズになることはできない。
マイクローンの時でも、ミシェルの隣に寄り添うのに相応しい成熟した女性の姿でありたい――それはクランの切実な願いだった。
「ならば、消えろ。ミシェルの思い出を汚すな!」
「ひどい事を言うな」
苦笑いしながら、“ミシェル”は両手を上げて機体の影から出てきた。
「動くな!」
クランが構えた拳銃、その銃口は揺るがずに“ミシェル”の胸に向けられていた。続けて詰問する。
「答えろ、この…ラブレンの中で何が起こった? 映像に記録された人たちは誰だ?」
「彼らは、ここに居た人たちが会いたいと望んでいた者だよ」
“ミシェル”は意外にも素直に答えてくれた。
「会いたい…だと? どうやって、ここに来たんだ。人類が乗った船は、しばらくシュクールダールに立ち寄ってない」
“ミシェル”は、ふっと微笑んだ。
「最初からここに居たんだ。彼らが望むから見えるようになった」
「…最初から?」
そこで、クランは、ある可能性に思い至った。
「あの、海の発光現象と何か関係があるのか?」
“ミシェル”は眉をひそめた。
「発光? ああ…それは、ここが思索に集中している時に光るんだ。だから、関係があるとも、無いとも言える」
今度はクランが首をひねる番だった。
“ミシェル”は“ここ”という場所を示す代名詞を主語として使っている。人間であれば“こいつ”だろうし、人間と呼べない存在であれば“これ”と表現するだろう。
「質問を変えるぞ。ラブレンの乗組員は、どこに居るんだ?」
「ここさ。見えなくなっただけで、ここに居る」
“ミシェル”は両手を上げたまま、肩をすくめた。その表情は、クランがぞっとするほど、あの頃のミシェルにそっくりだった。
「生きているのか? それとも…」
「ここと合一している」
“ミシェル”の回答は謎めいていた。
「言葉を変えて言ってみろ」
「彼らは、彼らが会いたいと望んだ人と一緒に居る。自然なことじゃないか、そうだろう? だからクラン、俺と一緒に…」
“ミシェル”がそこまで言った瞬間、足元が揺れた。下りのエレベーターに乗った時のような加速度を感じる。
クランは、船を制御するコンピュータに呼びかけた。
「ラブレン・コントロール、高度が下がっているのか?」
機械音声が即答した。
「本船は巡航モードです。何も異常は有りません」
「だが、この加速度は何だ?」
体感する下向きのGは無くならない。ということは、ラブレンが下降する速度を増しているということだ。
「コンピュータも、会いたいと望んだ人々と一緒に居たいんだ」
“ミシェル”は足元を見て言った。彼の視線は、甲板よりもっと下を見つめているかのようだった。
「どういう……」
クランは詰問しようとして、一つの可能性を思いついた。
“ミシェル”を作り出した何者かは、ラブレン乗組員が会いたいと願った人を出現させた。
どうやって会いたい人を知ったのか、また、その人を出現させたのか、具体的な手段は不明だが、今、ここでクランが“ミシェル”と対峙しているのは事実だ。
では、コンピュータは、どうか。コンピュータにとっての理想、あるべきラブレンの姿は日常の業務を滞りなくこなしている状態ではないだろうか? だから乗組員はコンピュータのデータ上で居ることになっている。何者かによって、騙されている。あるいは、夢を見せられている。
「クラン、俺と一緒に来いよ」
“ミシェル”は上げていた手を、クランへ向けて差し伸べた。
拳銃の銃口が揺らぎ、徐々に下へ向いた。
「さあ」
“ミシェル”が促す。
再びクランは拳銃を構えた。呟きのような小さな声で言う。
「行けない。ミシェルは……自分を犠牲にして私を守ってくれたのだ。だから、そっちへは行けない」
惑星フロンティアで待っている人々の顔を思い浮かべる。
グラリとラブレン全体が揺れた。
クランは身をひるがえし、クァドランに搭乗する。
脱出しようとして、発着甲板へと出るエレベーターに駆け寄った。
「何っ」
ラブレンの傾斜がきつくなってきたためか、エレベーターはセイフティがかかって作動しない。
「クラン、こっちだ」
“ミシェル”は、非常用のハッチを解放する。
ラブレンの下側に大きく開いたハッチの向こうに、惑星シュクールダール特有の鮮やかに青い海面が見える。
みるみる内に海面が迫ってきている。
「何故だっ? 私も一緒に連れて行きたいのではないかっ?」
ハッチの縁をクァドランの機械腕で掴んだクランは、“ミシェル”を振り返った。
“ミシェル”は、屈託のない笑顔を見せた。
「俺はお前が望んだままのミシェルだよ」
グラリ。
今やラブレンは、船首を海面に向けて急降下していた。
傾斜した弾みに、クァドランが空へと放り出される。
「み…ミシェル! ミシェール!」
空中で姿勢を維持しながら、クランはラブレンを見つめた。
ラブレンは海面に激突した。白い飛沫が高く上がる。落下した地点を中心に、あの光のパターンが広がっていった。
「ミシェル……」
クランは視野がゆがむのを感じた。熱い涙が頬を濡らすが、ヘルメットを着用しているので拭えない。
「馬鹿……二度も私の前で……馬鹿……」

その後の調査で、惑星シュクールダール表面に広がる海洋は、それ自体が一個の知性体であることが判明した。
シュクールダールの海は、他知性の思考にダイレクトに割り込む。
人類はもちろん、コンピュータのような機械知性であっても、その能力を発揮する。思考に干渉し、最終的には取り込んでしまおうとする習性があった。
今は、それを防ぐ手段が無い。
幸いにして、シュクールダールの海は宇宙を移動する手段を持たない。
新統合政府は思考干渉を防ぐ手段ができるまで、惑星シュクールダールと周辺宙域の閉鎖を決定した。

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2009.11.21 
■マクロスA Vol.3入手しました
白居ヒロ様、情報ありがとうございます。
小太刀右京先生の番外編、前日談でイサムと嵐蔵パパの遭遇を描いたお話、興味深かったです。それにしても、歌舞伎は無敵!
ドラマCD『娘ドラ』シリーズに収録されている『アルト・ミーツ・スカイ』のコミカライズ、いい仕事です。
今回から始まった『MACROSS非公式×企画』というタイトルで、可変戦闘機のバリエーションをでっちあげている記事がありました。設定厨のextramf好みの企画ですが、これはいけません(ダメ出し)。マクロスシリーズがガンダム辺りと大きく違うのは、バルキリーのフォルムに説得力があるからなんです。必然性のある形状と、そこから導き出されるスペックなどの、真面目に積み上げた虚構の楽しさです。でも、今回の企画の機体は、いくらなんでもアンマリなフォルム。精進していただきたい(ギラリ)。

■週末の絵ちゃ
たぶん、スタートは23時ごろになるかと思います。多少時間が前後する可能性があります。
無理のない範囲で遊びに来て下さい。

2009.11.18 
■業務連絡
パスワード申請で、hotmailをご指定の方、メールが不達になります。アドレスが間違っているようですので、再度お知らせください。

■いよいよ今週末
激情版・前編(海外の方からのメールに、こう書いてあって、それ以来お気に入り)の公開が、いよいよ今週末に迫っております。
首尾良く劇場で見れたら、21日の夜に久しぶりの最速絵チャでも開こうかしらん。
参加できる方、いらっしゃいますか?

■劇場版までに
販促PVを見ながら心待ちにしております。
追記に折りたたんでおりますので、未見の方は御覧になってくださいねー。
2009.11.16 
「おはようございます」
シェリル・ノームが撮影スタジオに入ると、それだけで場のテンションが上がるのが判った。
正直、大したものだと早乙女アルトは思う。
シェリルちゃん」
女性カメラマンがシェリルと握手した。それから、アルトの方をちらりと一瞥してから、何か小声でシェリルに言っている。
「ああ」
シェリルは、カメラマンの言葉に頷いて、アルトを見た。すぐに視線を戻す。
微妙な居心地の悪さを感じるアルト
「大丈夫、単なる見学者だから。お仕事に口を挟むようなことはないわ。素人というわけでもないし。わきまえているわ」
シェリルは説得しているようだ。
(話は通ってるって言ってたじゃないか)
アルトは視線を反らして、スタジオ内部を観察した。
そういえば、こんな場所に来たのは久しぶりだ。
歌舞伎役者をしていた頃には、何度か足を運んだものだ。観客へと配布されるパンフレットに使用されたものがほとんどだ。
撮影用にセッティングされているホリゾント(モデルの背景に立てるスクリーン)は緑色。
その周囲ではスタッフがライトを設置したり、露出を計測していた。
シェリルの髪を流すために、扇風機も設置されている。
(あ、女ばっかだ)
スタッフは全員女性で、アルトは改めて居心地の悪さを感じた。
(そりゃ、俺は男なんだし)
スタジオを隅々まで観察してから、シェリルを見ると、まだカメラマンと話している。
「なあ、シェリル…」
仕事の邪魔になるようならスタジオを出ようか、と言おうとしたところで、シェリルが顔を上げた。
今日のシェリルの装いは、ゆったりしたピンク色のワンピース。素足にサンダルを履いている。ヌード撮影なので肌に痕が残らないように、下着もあまり締め付けないタイプのものを選んでいた。
小走りに駆け寄ってきた。
「ごめんね、アルト。居心地悪かったでしょ?」
上目づかいで見上げるシェリル。
「それはかまわないんだが…マズかったら出ようか?」
「アルトには見てもらいたいから。現場で、どんな風にしているのか」
シェリル・ノームは自他共に認める仕事中毒だ。時としてアルトと過ごす事より仕事のスケジュールを優先する。
アルト自身、芸能の世界で育ってきたので、事情は何となく呑み込めていた。シェリルとは違う分野だが、舞台では何事も事前の予定通りに進まない、というのは骨身にしみている。
「知っておいて欲しいの」
シェリルは、ぐっと拳を握りしめた。
これはシェリル自身にとっても切実な問題だ。
仕事柄、マスメディアの上でヌードを披露することもある。アルトは、そうしたことに理解を示してくれてはいるが、心穏やかではいられない時もあるのは感づいていた。だから、できるだけ仕事内容をオープンにしておきたい。可能な限り、仕事の現場をアルトにも見て欲しい。
今までのシェリルの人生には、普通の人間が持ち合わせているプライベートな部分がスッポリ抜け落ちていた。幼くして家族を失い、歌手デビューを果たしてからは、シェリルのライフスタイルさえも彼女のスター性を高める素材としてマスメディアの上で流通してきた。
そうした欠落は、シェリルの浮世離れした雰囲気を醸し出す原因になってはいたが、アルトと付き合うようになって不安の源にもなっていた。
アルトやランカがフロンティア船団で過ごした子供時代の共通した話題で盛り上がっている時に、その話に入っていけない自分がいる。
過去を悔やんでも変えることはできない。だからシェリルは彼女らしい、正面突破の手段でアルトとの間の溝を埋めようとした。華やかな仕事の裏側をアルトに見せて、共有する体験を積み上げていこうとしている。
一方で、アルトも軍務があるので、スケジュール的に今日を外すと、次はかなり先の話になるだろう。
「でも……了解は取り付けたハズなんだけど、アルトの事が上手く伝わってなくて。条件を出して来たわ」
シェリルは唇を噛んだ。
「何だ?」
「…アルトも撮りたいって。女形というか、女装で」
「う」
アルトはカメラマンの方を見た。
カメラマンは三脚に据え付けたカメラのファインダーをのぞきこんでいる。視線を感じたのか顔を上げると、アルトを見てニッコリ笑った。
アルトの目には、その笑顔が挑戦的に見えた。
「どう? 無理にとは言わない。また次の機会もあるんだし…」
シェリルの声は平静だったが、少し落胆しているようだった。
「銀河の妖精に、そんな条件持ち出せるなんて、強気なカメラマンだな」
「まあね。腕は確かよ」
「判った。その条件、飲む」
シェリルは目を瞬いた。
「いいの?」
「あのカメラマンの目つきが気に入らない。できるものならやってみろって、言ってる」
「無理してない?」
シェリルは念を押した。
「散々修羅場をくぐってきたんだ。今更、女装の一つや二つ」
アルトは笑ってみせた。

スタジオ備え付けのオーディオセットから pink monsoon が流れ出す。
シェリルは深呼吸すると、羽織っていたガウンを脱ぎ落として、ホリゾントの前に立った。
強い照明の下、覆い隠すものの無い白い肌が眩しい。
撮影が始まった。
「リズムに乗って、目線はこちらに」
カメラマン、リサ・ブラウンは40代後半の黒人女性で、歯切れの良い口調がスタジオ全体に統一感を作り出している。
指示にあわせてシェリルがポーズを変え、アシスタントが補助照明や送風機の位置を合わせる。
「シェリル、最近、嬉しかったことって何?」
ファインダーをのぞきながら、リサが話しかける。
「そうね……レコーディングがスムーズに進んだ事。バルキリーの1種免許に合格したこと」
シェリルは目線を指示された方向から、ずらさずに答えた。
「わお、バルキリー? バサラやミレーヌみたいに、操縦しながら歌うの?」
「そういうパフォーマンスも良いかもね」
「見たいわ。そこでターンして、こちらに背中を見せて…いいわ。肩越しに振り返って」
背中がしなやかにうねる。風に乗って、シェリルのストロベリーブロンドがふわりと広がった。
アルトはカメラマンの斜め後ろから、シェリルの姿を見つめていた。
いつもの事ながら、仕事モードの時のシェリルは集中力が並外れている。
日常の空間で、生まれたままの素肌をさらしていたら、アルトは直視できないだろう。シェリルも、案外恥ずかしがりやな部分があるのを知っている。
しかし、ライトを浴びている彼女は堂々としていて、臆するところは無い。
だから、アルトもリラックスして撮影の様子を傍観することができた。
「この曲、何か思い出はある?」
リサは、スタジオに流れている pink monsoon についてたずねた。
「そうね……あまり好きじゃないわ」
シェリルは眉を寄せた。
「どうして?」
「まだアーティストとしてキャリアも無かったし、方向性も定まってなくて、周りに言われるままにR&Bにしたのね。納得できてないの、自分の中で」
腰に両手を当てて上体を屈めて、カメラのレンズを見上げるようにするシェリル。豊かな胸の膨らみが弾む。
「シェリル、彼氏の方を見て」
流れるようにターンして、アルトを見つめるシェリル。視線が重なって、そこで素に戻ってしまったらしい。
「…っ!」
小さく息を呑み、見る見る内に頬が染まる。
「誘うように、手招きしてごらんなさい」
リサの言葉に、右手を伸ばして人差し指を立てて招くように動かすが、ぎこちない。
「あはははっ…可愛いわよ、シェリル」
笑いながらもシャッターチャンスを逃さないリサ。
クルリとアルトに背中を向けるシェリル。カメラマンを睨んでいた。
「もうっ」

シェリルの撮影は滞りなく終わった。
撮影された写真は、アルバムジャケットに使用される予定だ。
楽曲配信の殆どがネットワーク上で配信される現在でも、楽曲のビジュアルイメージとして画像が添付される事が多い。この画像は、かつてのレコード包装に因んで、ジャケットと通称されている。
「じゃあ、今度はアルト君ね……まぁ!」
リサが、撮影用の衣装に着替えてきたアルトの様子に目を丸くした。
アルトは、軽くメイクを施し、目尻と唇に紅を刷いている。素肌の上に白く透ける布を肩から巻きつけるようにしている。スタジオに和服が無かったので、間に合わせの衣装だ。
アシスタントの一人がリサに説明した。
「メイクさんが遊んでたので、それにあわせて衣装も遊んでみました」
「アルト…」
ガウンに袖を通したシェリルが瞳をきらめかせた。
「綺麗よ。綺麗だわ」
「お前、ワクワクした顔してんじゃねーよ」
と言いながら、アルトもまんざらではなさそうな表情だった。
「じゃあ、どんな風にしましょうか?」
リサの質問に、アルトは即答した。
「俎板の上の鯉ですから、お好きにどうぞ」
リサは少し考えた。
「じゃあ、知っている動きでかまわないから、ダンスとか、そういうのできる?」
「それなら藤娘で」
「BGMは要る?」
「無くても平気です。頭の中に入っていますから」
言い切ったところで、アルトはずいぶん舞から遠ざかっていることに気づいた。一瞬、大丈夫かと自信が揺らいだが、ままよとカメラに正対する。
「いつでも始めてもらっても結構よ」
リサがファインダーを覗き込んだのを合図に、足を踏み出す。
藤娘の筋立ては、娘の姿をした藤の精が男心のままならさを嘆くというもの。

 若むらさきに とかえりの 花をあらわす 松の藤浪
 人目せき笠 塗笠しゃんと 振かかげたる 一枝は
 紫深き 水道の水に 染めて うれしきゆかりの色に
 いとしと書いて藤の花 エエ しょんがいな

いざ、動き出してみると体の方がしっかり覚えていた。
長く伸ばした黒髪をなびかせて振り返り、しなを作ると、スタジオに声にならないため息が満ちた。
無心に、手足の動きに導かれるように舞うアルト。記憶だけではなく、遺伝子にまで刷り込むように繰り返した舞の動きは数年のブランクを感じさせない滑らかなものだった。
最後の振りの後、残心をとる。
カメラに向かって深々と礼をすると拍手が沸き起こった。
「ほんの余興のつもりだったけど、素晴らしいものが撮れたわ」
リサが手を差し出してくる。
アルトは握手を交わした。
「お粗末さまでした」
「それは、日本人らしい謙遜? もっと誇っても良いのに」
リサも手を硬く握る。
「いえ、冷や汗をかきました。本当に久しぶりでしたから」
シェリルを振り返って、髪を縛る紐を解いた。
「これで上がりか?」
見蕩れていたシェリルは、返事が一瞬遅れた。
「え…ええ。アルト、お疲れ様」

後日。ベクタープロモーションの会議室。
「何、ニヤニヤしてるんでスか?」
社長のエルモ・クリダニクが会議机の上に表示させた画像から視線をはずしてシェリルを振り返った。
今日は、シェリルの新作アルバム用の宣伝素材の仕上がりをチェックするためにシェリルやスタッフが会議室に集まっていた。
「ジャケットを撮影した時の、オマケ」
シェリルは携帯の画面に表示させた画像をエルモに見せた。
逞しい男性の背中。長く伸ばした黒髪をまとめていた紐を解いた一瞬を捉えている。ハラリと散った髪がライトに透けている。
「これは、どなたデスか?」
シェリルは携帯をきゅっと胸に抱きしめた。
「秘密。私だけのものだから」

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2009.11.13 
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■雑誌『ニュータイプ12月号』と『劇場版マクロスF虚空歌姫 ガイドブック』
順調にお財布から搾り取られております。うぐぐぐ。
ニュータイプの方は付録のCDで、ラジオ・マクロスの出張版を聞けます。
ガイドブックは…んー、まー、買わなくてもよかったかなぁ。さして目新しいことが書いていたわけじゃないし。まあ萌え補給ということで。

■とか何とか言っている間に、来週公開ですよっ
うう、待ちきれない。サントラ欲しい。次にシェリルのミニアルバムも控えてるし。ブドーカンライブのブルーレイも。
お金無いのにぃぃぃぃ(血涙)。

2009.11.11 
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