2ntブログ
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SMSのブリーフィングルーム。
「お兄ちゃん…」
「言っておくが、俺は今でも反対だ。あんな物騒な場所にお前を行かせるなんて」
オズマは渋い顔を隠さなかった。
テーブルを挟んで、反対側に座っているランカの目は真剣で、決して退かない意志を秘めていた。
「他にいくらでも、お前よりネームバリューのある歌手は居るだろう?」
「だけど!」
ランカは拳を握りしめた。
アルト君とシェリルさんが大変なことに…あの二人がいなかったら、歌手のランカ・リーは存在していないもの」
「……お前が向かう所は戦場だ。しかも、敵がどこに居るかハッキリしない。厄介で特殊な戦場だ」
「うん」
「俺たちもベストを尽くすが、その上で、なお死の危険がある」
「判ってる。お兄ちゃんが、いつもいる場所だよね?」
ランカは、オズマが戦場に出る度に口にする“必ず帰ってくる”がごまかしではなく、優しい嘘であることに気づいた。
ランカ……お前は軍人ではない。だが、戦場に立つからには戦士だ」
「うん」
「戦士を送り出すには、昔からこうやるんだ」
オズマは立ち上がって背筋を伸ばし、非の打ち所の無い敬礼をした。
「骨は拾ってやる。行ってこい」
ランカも立ち上がって、見よう見まねの答礼をした。
「骨になったら、ファーストライブでカッコつかないよ」
体を翻すと、バルキリーに乗り込むべく駆け出した。
オズマは花嫁を送り出す父親の気持ちが判るような気がした。

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2008.06.27 
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