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ピクシー小隊所属ネネ・ローラ。
お姉さま(クランクラン)ほどではないにしても、操縦の技量には自信を持っていた。
そうでなくては、お姉さまの列機など勤められない。
しかし、先頃の模擬戦で候補生ごときに撃墜判定を喫してしまった。
「あの子ね」
マイクローンサイズのネネは物陰からアルトを見つめていた。
「早乙女アルト准尉……美星学園での成績はミシェルに次いで二位って言うんだから、かなりのもんだな」
相棒のララミア・レレミアが頷いた。
場所はSMS本社ビルの休憩スペース。
「綺麗な子ね……それにしても許せない。わたしの足元にひざまずかせて見せるわ!」
瞳をギラつかせるネネ
「ちょ、おま……結婚指輪外して何をするつもりだ?」
ララミアが突っ込むのを気にも留めずに、ネネは姦計を巡らせた。
「ふふ、アルト坊や、覚悟なさい」
ララミアはがっくりとうなだれた。
(ダメだこいつッ。ゼントラーディの闘争本能が間違った方向にダダ漏れしているッッッ)

SMSの懇親会はゴージャス・デリシャス・デカルチャーでお馴染みの中華レストラン『娘娘』のパーティールームを借りきって催された。
ネネは目論見通りアルトの隣に座ることができた。
「お疲れ様、どうぞアルト君」
かいがいしくビールなんか注いだりする。
「どうも」
ペコっと頭を下げるアルト
一同、オズマの音頭で乾杯する。
「アルト君って、お酒は強いのかしら?」
「いや、それほどでは」
そっけなく答えるアルト。
「そうなの? 弱そうには見えないけど」
「あ、これぐらいで」
ネネの差し出したビール瓶を押しとどめる。
(ちっ、調子乗せていっぱい飲ませようとしているのに、やりにくい子ねぇ)
しかし、これぐらいでゼントラーディの敢闘精神が挫けるわけはなかった。
こっそり愛用のピルケースから『モルフェウス&パックス』の錠剤を取り出した。
ゼントラーディの紳士淑女が愛用する攻撃衝動抑制剤は、ピピッときたら直ちに一錠を服用。即効性の優しい効き目だが、アルコールと一緒に摂取するとアレな効果を発揮する。
こっそりとアルトのグラスに溶かしこむことに成功したネネであった。

「よぉーし、これでお開きだ。二次会に行く連中はこっち来い」
オズマが店を出て手を挙げた。
「じゃ、俺はこれで失礼します。お先に」
孤独を好むアルトは、一足先に宿舎に戻ろうと踵を返した。この面子に付き合っていたら、朝帰り確実だ。
娘娘』からSMSの宿舎までは、歩いて行ける距離だ。酔いざましがてら、人気のない夜道をフラフラ歩いていると、いきなり足から力が抜けた。
「なにっ?」
足首、膝から腰と力が入らずにへたり込む。その上、意識まであやしくなってきた。
「あぁら、アルト君大丈夫?」
背後から声をかけてきたのはネネだ。
「だ……」
大丈夫、と返事をしようとして、そこでアルトの記憶は途切れた。

「う……」
アルトのぼやけた視界が徐々に回復してくる。
どうやらベッドの上に寝かされているらしい。見知らぬ天井が視野を占めている。
「ど……こ…?」
ノロノロと周囲を見回そうとする。目の焦点が合わないのでハッキリとはしないが、どこかのホテルのようだ。
かすかに聞こえるのは、R&B系の音楽。ヘッドボード近くのスピーカーから聞こえる。
自分の胸を見ると、下着姿だ。
「……ん……なんで…?」
「起きたの? 大丈夫?」
女の声。そちらを見ると、ボヤけた視界にネネの姿。彼女も薄いパープルのキャミソール姿だ。
「お酒、飲ませ過ぎたかしら?」
ネネはベッドのふちに座って、アルトの顔を覗き込む。
控え目な照明がネネの長い睫や、髪の毛の先をぼうっと輝かせていた。
「な…に……が……どう…して?」
状況を訪ねようとするアルトの胸、シャツ越しに手のひらで撫でながらネネが囁く。
「大丈夫ですわよ……ネネに任せて」
身の危険を感じたアルトは、ネネの手を振り払う。
「ま、強情な子ね」
ネネはベッドに上がり、アルトにまたがった。
「ぐっ……」
アルトは身動きできなくなった。
ゼントラーディらしく、きっちりマウントポジションをきめている。
「もう、生意気なんですわぁ、新人の癖に。人妻の私のバックからガンガン撃つんですものぉ」
「あれは……訓練……」
「その口のきき方、生意気ぃ」
アルトを見下ろしながら、背後へと手を伸ばし、太ももの辺りをソロリソロリと撫でる。
「くっ…」
ネネの巧みな刺激に、アルトの肉体が反応する。トランクスの中央がテントを張った。
「ふふ……立派ねぇ。女のコみたいな顔して」
羞恥を刺激するねっとりとした語り口でネネは囁いた。指がトランクスの端をはぐって、その下に指を滑らせる。
アルトは熱く滾り立ったモノに、ひんやりした女の指が触れるのを感じた。体中の血流が一点に集まる。
その時、部屋に流れる曲がバラードに変わった。

“神様に恋をしてた頃は こんな別れが来るとは思ってなかったよ
もう二度と触れられないなら せめて最後に もう一度抱きしめて欲しかったよ”

シェリル!)
ダイアモンド・クレバスのイントロが耳に入ってくる。脳裏に面影がはっきりと浮かぶ。四肢に力が戻った。
「ぐっ…」
ネネの体の下で、アルトは強引に体をねじって伏せる。
「きゃっ…!」
マウントポジションが外れた。
ベッドの上から転げ落ちるようにして逃れた。綺麗に畳んであった着衣を見つけると、あわてて袖を通す。
「じゃ、そゆことで、失礼しますっ」
慌ただしく部屋を出た。
「キィッ、逃げるなぁぁぁぁぁ!」
背後でネネが悔しがって地団太を踏んでいる気配がした。

翌日、美星学園。
教室でシェリルと顔を合わせたアルト。
「おはよう、アルト」
その声を聞いて、アルトは昨夜のことを思い出した。
「おはよう、シェリル……あの、だな」
「ん、どうしたの?」
シェリルは顔を覗き込んだ。
「ありがとう、な」
アルトは、シェリルの瞳を眩しく受け止めながら、しみじみ言った。
「何のこと?」
「その……お前の歌で助かった。正気に戻ったよ」
「なぁに? またSMSで飲み会でもしたの?」
「そ、そう。そんなトコだ」
アルトは言葉を濁した。
「そう言うことにしておいてあげる。さあ、授業始まるわよ。座りましょ」
含みのあるシェリルの言葉に、アルトはドキっとした。
(もしかして、何か知っているのか?)
そこで講師が教室に入ってきたので、会話は途切れた。

「薬だけなんて、手ぬるかったわぁ……今度こそぉ!」
大人のオモチャの通販番組で拘束具を買い求めるネネ。
「やっぱ、お前の闘争本能、間違っているぞ」
ララミアが肩をすくめる。

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2008.06.02 
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