2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- 
■業務連絡
パスワードお知らせメールの送り先を、@contoso.comのドメインに指定されている方へ。
こちらからも、何度もメールをお送りしておりますが、不達になります。別のメールアドレスをお知らせいただけますでしょうか?

■アンソロジー企画
リンク先に、こっそり追加していたのですが、アルシェリスト達によるアルシェリストの為のアルシェリアンソロジー企画(長っ)の末席にextramfも連なっております。
詳しくはリンク先をご欄下さい。

アルシェリ1000%バナー

2010.02.28 
久しぶりにオフが揃った日の朝。
ベッドで横たわっていた早乙女アルトは、瞼に光が当たるのを感じた。
まだ重い瞼をこじ開けると、寝室の窓からカーテン越しに入ってくる日の光が見えた。良い天気になりそうだ。
傍らを見ると、シェリル・ノームは既に起きていて、仰臥したままパッドを見ていた。
パッドはA4サイズぐらいのスクリーンで、タッチパネルと音声で直感的な操作ができる情報機器だ。
アルトはベッドから抜け出して、キッチンへ行こうとしたところ、シーツの下でシェリルが素足を絡めてきた。
アルトが横目で妻を見ると、シェリルはパッドに視線を向けたまま言った。
「まだ朝食には早いわ。子供たちも寝てるし」
上半身は仰向けでパッドを持っているが、伸びやかな両足がアルトの右足を挟んで引き寄せている。
器用なことだと感心しながら、アルトシェリルに寄り添った。右腕を伸ばして抱き寄せる。
頬を寄せて、シェリルがのぞき込んでいるパッドの画面を見た。
「ベム星系…?」
ペルセウス座スパイラルアームにある星系だ。居住可能惑星は無いが、都市がいくつかある。
アルトはベム星系に関するニュースを思い出そうと、記憶を探った。
プロトカルチャーが50万年前に築いた遺跡があることで有名だった。
遺跡の発掘と観光が主要産業のはずだ。交通の便が良くないので観光地としてはあまり人気は無い。
「ふふっ」
シェリルはパッドを胸の上に置くと、アルトを見て微笑んだ。
「バカンスに、ここへ行ってみない?」
シーツの下では、シェリルの素足が膝でアルトの太ももを撫でた。
アルトが腕枕をすると、猫がそうするように頭をアルトの肩口にこすりつける。
「何か面白いものでもあるのか?」
水を向けると、シェリルはパッドを取り上げて記録していたサイトを画面に表示させた。
「ライムマスターですって」
画面に映し出されたのは、個人のブログのようだ。
ざっと斜め読みしたところ、ベム星系ではライムと呼ばれる即興詩を即興の音楽に乗せて歌い、戦っているらしい。戦うと言っても流血沙汰ではなく、より多くの聴衆の支持を集めた方がリスペクトされる、ぐらいの意味だ。
「ヒップホップみたいなものか?」
「ラップが近いわ」
シェリルはブログのページに埋め込まれた動画を再生させた。
独特のリズムと、脚韻を踏んだ言い回しのライムが流れ出した。歌手は男らしい。
ライムに別のライムがかぶさってくる。女性のものらしい声が歯切れよく、早口のライムをぶつけてくる。
次第に女の声だけが残り、オーディエンスの歓声も女に唱和してリズムを揃えている。
「へぇ、他ではあまり聴かないな」
アルトはパッドに手を伸ばして、別のページも見てみた。
「でしょ? レコーディングの時にね、スタッフの若いコに教えてもらったのよ。一部で、ちょっとブームだって」
シェリルは唇をアルトの耳に寄せた。甘い声音で囁くと、リップノイズを立てて耳にキスした。
くすぐったそうに首をすくめるアルト。
次のバカンスシーズンは、高校生になった子供たちが、それぞれの都合で惑星フロンティアを離れる。
美星学園の芸能科に入学した息子の悟郎は、プロミュージシャンとしてマクロス11船団でアルバム制作に打ち込む予定だ。
美星学園の航宙科に進んだメロディは、航宙実習で往復2週間かけて近隣の植民惑星へと向かう。
アルトとシェリルは久しぶりに夫婦水入らずで旅行するつもりだった。
「変わった旅先を見つけてきたな」
アルトはからかうように言った。
「ご不満?」
シェリルは掌でアルトの胸板を撫でた。
「いや……子供連れのバカンスじゃ行けそうにない所だし、いいんじゃないか?」
「良かった。じゃ、そのセンでプラン立ててよ」
シェリルがそこまで言った時、彼女のお腹がグーと鳴った。
「朝飯にするか。パンとご飯、どっちだ?」
アルトは名残惜しさを感じながら、シェリルの腕から抜け出す。
「今朝は、ご飯が良いわ」

2010.02.17 
■日中両国でビミョーに話題の Astro Planですが
こんなMADが流れてたりw


わははは。
歌詞が秀逸。
「河森涙目」
「著作権はどーなのよ」
「同人作品だから無問題」
ですって。
でもまー、『ライオン』に乗せるだけで、迫力がずいぶん変わってきますね。
音楽の力は偉大だわ。

2010.02.12 
惑星フロンティア首都、キャピタル・フロンティア。
シェリル!」
マネージャーを勤めるベテラン女性社員が、帰り支度を始めたシェリル・ノームに声をかけた。
そろそろ夕方にさしかかろうか、という時刻だが、フレックスタイム制をとっているベクター・プロモーションの社内なので、全員が退勤時刻というわけではない。それぞれが自分のペースで仕事をこなしている。
シェリルは新しいアルバム制作に向けての、企画会議に出席するために社に顔を出していた。
「何?」
バッグを肩にかけたシェリルは、マネージャーを振り返ってサングラスをはずした。少し、そわそわしている。
「再来週の件、忘れないで下さいね」
「再来週…何だっけ?」
マネージャーは大げさに呆れてみせた。
「映画監督の山森さんと対談ですよ。もう忘れちゃったんですか?」
「あ、ああ、そ、そうね。そうだった。忘れてないわよ。度忘れしただけ」
「何、そんなに急いでいるんです?」
「これから、家で『パイロット物語』を観るのよ。悪いけど、じゃ、また」
携帯端末で時刻をチラ見したシェリルは、ダッシュで社屋を出た。
「連ドラなんて、ダウンロードで見ればいいのに」
マネージャーは肩をすくめて、シェリルの背中を見送った。

車を飛ばして帰宅したシェリルは、簡単な食事の用意を済ませるとリビングへと運んだ。
ソファに座って、AVセットのスイッチを入れる。
予約済みだったので、チャンネルは自動的に合う。
聞き慣れたテーマソングとともに、『パイロット物語』のタイトルロゴが表示された。
月曜日の夜7時から始まる連続ドラマは、どちらかといえばティーンの視聴者をターゲットにしたものだ。
ストーリーは、新統合軍の新米バルキリーパイロットとなった18歳の少女が、精鋭部隊に配属され、鬼教官の下で鍛え上げられていくという、スポ根ノリの単純な筋立て。
ところが、ヒロインが密かに恋心を抱いている鬼教官が主婦層の人気を集めて、本来のターゲットとは異なる奥様方の間で盛り上がっていた。
シェリルは、いささかお行儀悪くラザニアにフォークを付きたてながら、画面に釘付けになっていた。
実機を使っての演習中、近くの恒星が突如バースト現象を起こした。
押し寄せる電磁波と放射線の嵐の中、普段は反目しあっている成績トップのライバル(男性)と協力しあってピンチを脱出。
鬼教官に「良く頑張った」と褒められて、ささやかな幸せに浸っているヒロイン。
その直後、ライバルから「俺と付き合わないか」と告白されてビックリ、というシーンでエンディングになった。
「どうなるのかしら、次回」
シェリルは手元に携帯端末を引き寄せると、匿名で書き込める掲示板に音声入力で感想を書き込んだ。他の奥様方も掲示板に次々と書き込む。
スポ根から、一転して恋愛模様がクローズアップされたため、ヒロインがライバルの告白を受けるのかどうかが、話題になっていた。
シェリルは、ヒロインに振られるんじゃないかと書き込むと、すぐに賛同や反対のレスポンスが書き込まれる。
「ただいま」
頬にキスされて、シェリルは驚いた。
「お、おかえり、アルト
「また、インスタントで晩飯……ドラマ見てたのか。お気に入りだな」
着流し姿のアルトは羽織から袖を抜いて、衣文掛けにかけた。
「ま、まあね」
「ダウンロードでいつでも見れるだろ?」
この時代のテレビ放送は、放映後でもネットに接続されたサーバーから、いつでもダウンロードして視聴できる。
「だって、ネットで皆と一緒に盛り上がりたいんだもん」
「ネット?」
アルトはシェリルの手元を覗き込んだ。
「匿名掲示板?」
「そう。私がシェリルって判ると、皆、遠慮しちゃって盛り上がらないし」
ヒロインのライバル役は、アルトとシェリルの息子である早乙女悟郎だ。歌舞伎役者とミュージシャンという二つの顔を持つ多才ぶりだが、今回、新境地として連続ドラマへ出演している。
早乙女アルト家では自家用機としてVF-25Fを使用しているため、悟郎が豊富なバルキリーの操縦経験を持っているのも、抜擢された理由のひとつだ。
「これ、お前の書き込みか……って、ヒドイな。こっぴどく振られればいいとか……息子が可愛くないのかよ」
「ドラマの中じゃ、いけ好かないヤツだもん」
シェリルは、刻々と増えていく掲示板の書き込みをチェックしながら言った。
「それがお役ってもんだが……へぇ、そのいけ好かないエリートにもファンは居るんだな」
「悟郎ファンもいるわよ。当然じゃない。時々、読んでみるけど面白いわよ」
「でも晩御飯は、ちゃんとダイニングで食べろよ。向こうでも見れるだろ?」
シェリルはソファの上で胡坐をかいた。
「こっちのが画質がいい」
アルトは苦笑してキッチンへ向かった。デザートに林檎を剥いて出してやろうと、掲示板に書き込んでいるシェリルに背中を向けた。

READ MORE▼

2010.02.12 
  1. 無料アクセス解析