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美星学園航宙科パイロットコースの定期試験には筆記の他に実技も含まれる。
シェリルはカフェテリアでお茶しながら、試験に備えてルカが携帯端末にインストールしてくれたモールス信号ゲームで練習を繰り返していた。
頭の上から声が降ってきた。
「熱心にやってるな」
「アルト」
見上げると、背後に立ったアルトがシェリルの手元を覗き込んでいた。
「ルカのゲームか。覚えたのか?」
「もちろん、完璧よ」
「へぇ」
アルトはお茶のカップを手に、シェリルの隣に座った。
「何よ、信じてないの? 試してみる?」
「尻取りでもしてみるか」
アルトはテーブルの上を人差し指でコツコツと叩いた。
“ミ・ホ・シ”
「ええと……」
シェリルは覚えたての信号を頭の中で組み立てた。人差指と中指でリズミカルに天板を叩く。
“シェリル”
アルトは直ぐに返した。
“ルカ”
シェリルは少し考えた。
“カッシーニ”
土星の環に隙間を見つけた天文学者の名前で返す。パイロットコースの授業で習ったばかりだ。
“ニオベ”
アルトは太陽系にある小惑星の名前を叩く。
すぐにシェリルは新統合軍の軍艦名で返した。
“ベテルギウス”
「コンサート・ツアーで便乗させてもらったわ」
アルトはカフェテリアの外を通りがかったルカの姿に気を取られていた。あまり考えずに短い言葉を叩く。
“スキ”
シェリルも同じスピードで返した。
“キス”
ルカが入ってくると、アルトは空いている手を上げて挨拶しながら、上の空で信号を叩いた。
“スゴクスキ”
「お前さん、カフェテリアで大胆だな」
アルトが振り返ると、ミシェルがニヤニヤ笑いながら頬杖をついて続けた。
「モールス信号で口説くなんて、思いつかなかったな」
「え?」
アルトは何のことだ、と言い返そうとしたところ、シェリルの指が鼻の頭をつついた。
「たまに熱烈過ぎるファンレターもらうけど、こんな風に告白されるなんて思ってなかったわ。でも、試験勉強中に、ちょっと不謹慎ね」
「シェリルさん、どうしたんですか? ミシェル先輩も楽しそうに……」
ルカが話の輪に加わった。
「モールス信号で尻取りしてたんだが……俺、なんて打った?」
やや茫然としたアルトが言うと、シェリルは芝居がかった動きで上体を引いた。
「なんですって、あんなに熱烈な言葉だったのに覚えてないの?」
「ルカに気を取られて、その……テキトーに打ってた」
ミシェルがアルトの肩をがっしりつかんだ。
「女の敵」
「ミシェル、お前がそれを言うかっ」
もがくアルトを、難無く押さえつけるミシェル。
事情が呑み込めていないルカに、説明するシェリル。
「それは、アルト先輩が悪いですね」
「なっ」
孤立無援のアルトに、周りから突っ込みの嵐。
「今度、ヘイトソングでも作ろうかしら。早乙女アルトって実名入りで」
シェリルが泣きまねをしながら言うと、ミシェルも面白がってけしかける。
「いいねぇ。アルトの名前が銀河に広がるぞ。超銀河女たらし伝説が、今ここから始ったりして」
「お前らなぁ」
シェリルはカフェテリアでお茶しながら、試験に備えてルカが携帯端末にインストールしてくれたモールス信号ゲームで練習を繰り返していた。
頭の上から声が降ってきた。
「熱心にやってるな」
「アルト」
見上げると、背後に立ったアルトがシェリルの手元を覗き込んでいた。
「ルカのゲームか。覚えたのか?」
「もちろん、完璧よ」
「へぇ」
アルトはお茶のカップを手に、シェリルの隣に座った。
「何よ、信じてないの? 試してみる?」
「尻取りでもしてみるか」
アルトはテーブルの上を人差し指でコツコツと叩いた。
“ミ・ホ・シ”
「ええと……」
シェリルは覚えたての信号を頭の中で組み立てた。人差指と中指でリズミカルに天板を叩く。
“シェリル”
アルトは直ぐに返した。
“ルカ”
シェリルは少し考えた。
“カッシーニ”
土星の環に隙間を見つけた天文学者の名前で返す。パイロットコースの授業で習ったばかりだ。
“ニオベ”
アルトは太陽系にある小惑星の名前を叩く。
すぐにシェリルは新統合軍の軍艦名で返した。
“ベテルギウス”
「コンサート・ツアーで便乗させてもらったわ」
アルトはカフェテリアの外を通りがかったルカの姿に気を取られていた。あまり考えずに短い言葉を叩く。
“スキ”
シェリルも同じスピードで返した。
“キス”
ルカが入ってくると、アルトは空いている手を上げて挨拶しながら、上の空で信号を叩いた。
“スゴクスキ”
「お前さん、カフェテリアで大胆だな」
アルトが振り返ると、ミシェルがニヤニヤ笑いながら頬杖をついて続けた。
「モールス信号で口説くなんて、思いつかなかったな」
「え?」
アルトは何のことだ、と言い返そうとしたところ、シェリルの指が鼻の頭をつついた。
「たまに熱烈過ぎるファンレターもらうけど、こんな風に告白されるなんて思ってなかったわ。でも、試験勉強中に、ちょっと不謹慎ね」
「シェリルさん、どうしたんですか? ミシェル先輩も楽しそうに……」
ルカが話の輪に加わった。
「モールス信号で尻取りしてたんだが……俺、なんて打った?」
やや茫然としたアルトが言うと、シェリルは芝居がかった動きで上体を引いた。
「なんですって、あんなに熱烈な言葉だったのに覚えてないの?」
「ルカに気を取られて、その……テキトーに打ってた」
ミシェルがアルトの肩をがっしりつかんだ。
「女の敵」
「ミシェル、お前がそれを言うかっ」
もがくアルトを、難無く押さえつけるミシェル。
事情が呑み込めていないルカに、説明するシェリル。
「それは、アルト先輩が悪いですね」
「なっ」
孤立無援のアルトに、周りから突っ込みの嵐。
「今度、ヘイトソングでも作ろうかしら。早乙女アルトって実名入りで」
シェリルが泣きまねをしながら言うと、ミシェルも面白がってけしかける。
「いいねぇ。アルトの名前が銀河に広がるぞ。超銀河女たらし伝説が、今ここから始ったりして」
「お前らなぁ」
★あとがき★
『一日艦隊司令』の続きです。
うさぎ様、いかがでしょうか。ちょっと形は変えてありますが、学園ものに仕立ててみました。
話変わって、買ってしまいました、ブルーレイ・ディスク『マクロスF 第1巻』。
再生機持ってないので、勢いでPS3も購入。勢いあまって、余計なものまで購入したり。
自宅でコードと格闘しながら接続して高画質を堪能しています。
当ブログでアクセス解析していますが、時折、中国本土、香港、台湾、韓国からの閲覧があります。
当該する地域にお住まいの日本人の方か、日本語話者の方がご覧になっているのでしょうか。
もし、そうでなければテキストばっかりでご免なさい。
Sorry, this blog is Japanese only.
2008.07.29 ▲
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