2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- 
SMSマクロス・クォーターの格納庫では、パイロットたちがそれぞれの愛機をチェックしていた。
チェックリストをクリアした者から、居住区画へと引き上げてゆく。
ルカは、愛機に随伴する無人機をチェックする都合上、いつも格納庫から引き揚げるのが最後だった。
チェックシートから顔を上げると、クランクランもクアドラン・レアの整備を終えたところだった。
ちょうどいい機会だ。ルカは、いつも心のどこかに抱いている疑問を尋ねてみた。
クランクラン大尉、教えてください。ミシェル先輩って、どんなお子さんだったんですか? 幼馴染って聞いたんですが」
巨人サイズのクランクランは即答した。
「うん? 苦手だったな」
「苦手?」
「ワタシから見てミシェルは苦手な子供だった」
クランクランは幼いミシェルのことを回想した。

クランクランは、決してミシェルが嫌いなわけではなかった。
ブロンド・緑の瞳・白い肌。外見は、まるで童話の絵本から抜け出したような愛らしい子供だった。
しかし、時折ミシェルの子守をしなければいけない時は、大いに神経をすり減らされた。
マイクローンの子供は動きが鈍く、肉体は脆い。うっかりすると傷つけそうで、触れるのが怖い。
かといって、寂しがり屋だったミシェルは放っておかれると、ぐずり、泣き出す。そうなると、御機嫌を取るのに難儀する。
その癖、ミシェルは自分が主導権を握れないとすねた。
結局、いつもミシェルが一番気に入っている遊びの相手を務めることになる。
「ねー、クラン、とざんゴッコしよ」
「うむ、登山ゴッコだな。まずはレベル1だ」
ゼントラーディ・タウンにあるクランクランの部屋。カーペットの上でクランクランはうつ伏せに寝転んだ。両肘をついて、首を起こす。
「ミシェルたいちょう、これより、やまにのぼります!」
床の上から、幼いミシェルがクランクランの脇腹あたりをよじ登り始めた。
クランクランが身につけているTシャツをつかんで、背中に上がる。
背筋をたどって首のところまで来ると、青い髪をつかんで頭の上まで登る。
クランクランにしてみれば、こそばゆかったり、少しばかり痛かったりするが、じっと我慢する。
「とうちょうにせいこうしましたー」
頭の上でミシェルが立ち上がり、自慢げに宣言する。
「よーし、登頂できたら次はレベル2だ」
クランクランは頭の上からミシェルとそっと床に下ろす。
そして、姿勢を変えてヨガのポーズのように胡坐をかいた。
「つぎ、いきまーす」
ミシェルは、クランクランの太ももによじ登ると、シャツをつかんで登り始めた。
ミシェルは手を伸ばした。シャツだけではなく、その下の素肌も一緒につかむ。
「んっ」
思わず声が出るクランクラン。
「だいじょぶ?」
ミシェルが気遣って顔を見上げた。
「な、何でもないぞ。早く登ってこい」
「りようかい」
ミシェルは、ようやく肩の上に乗った。
「ふぅ、ひとやすみ」
登山ゴッコの良いところは、クランクランに触れていられるおかげでミシェルが寂しがることもないし、両手でミシェルの体を受け止められるので、怪我をさせる危険も少ないところだった。
それに、懐いてくるミシェルは、この上なく可愛らしい。
「きゅうけいおわり」
ミシェルは立ち上がったが、バランスを崩した。
「おっと」
襟ぐりに足を滑らせ、Tシャツの下に潜り込んでしまう。
「はぅ」
思わず声が出るクランクラン。ミシェルの体をつかんで肩に乗せた。
「そこはまずいぞ、さすがに」
「ごめん。もっぺんちょうせんするね」
今度は髪をつかみ、耳だぶを手掛かりにして登頂に成功したミシェル。
「やったぁ」

「へぇ、そんな遊びをしてたんですか」
ルカが目を丸くした。
いつも持っている携帯端末でメモをつける。
"ミシェル先輩は小さい頃から女体探検が得意だった"


★あとがき★
近所の四歳児と遊んでいる時を思い出しながら書きました。

最初に執筆した時点では、クランの方がミシェルより大幅に年上かと思っていたので、話中に登場するクランには立派なおっぱいがありました。
しかし、9話のエピソードを見るに、せいぜい一~二歳程度の差しかないように見えたので、クランの描写を変更してみました。

2008.05.18 


Secret

  1. 無料アクセス解析