2ntブログ
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「はーい、昼の休憩に入ります」
フロンティア船団のリゾート施設、そのプールサイドでは撮影スタッフがシェリルを取り囲んでいた。
白のビキニを着けていたシェリルは、強い日差しの中、プールサイドに設置されたパラソルの下に逃げ込んだ。
シェリルシェリル・ノームか?」
斜め上から聞き覚えのある声が降ってくる。
見上げると、プールの区画を仕切っている壁の上から、ゼントラーディ女性が覗き込んでいた。
クランクラン大尉」
シェリルは軽く手を振った。
「今は少佐だ」
「出世したのね、おめでとう」
シェリルはバルキリーの操縦を習っていた頃に覚えた敬礼をする。
「ありがとう」
クランは本職の軍人らしい、ピシッとした答礼を返した。
「今日は撮影か?」
シェリルの周囲ではスタッフが撮影機材を片づけて、昼食の休憩に入ろうとしていた。
「ええ、新作のプロモーションビデオよ。これから、ランチタイムなんだけど、一緒にどう?」
「ああ、いいな。お相伴にあずかろう」

プールに併設された、水着のまま利用できるレストラン。
クランとシェリルは、ゼントラーディ用の席に座った。
シェリルはマイクローン・サイズなので、クランが座った席のテーブルの上にマイクローン用の席を設えさせた。
「ふふ、サイズは違うけど、私たちお揃いね」
クランの水着は、やはり白いビキニだった。
「ああ、奇遇だな」
「今日は一人なの?」
「ここのプールはトレーニング用にいいんだ」
ゼントラーディの肉体は巨体と反応速度を支えるため人類に比べて比重が重い。プール用の水も塩を溶かすなどして、浮力を増強する必要がある。
「最近トレーニング、サボりがちだから、私も気合入れないとね」
シェリルは自分の二の腕を触って確認した。よし、たるんでなんかいない。
「忙しそうだな……ところで、お前、ラブソング作ってるな」
クランの声の調子が低く変わった。
「ええ、たぶん、今まで作った曲の半分以上はラブソングって言えると思うわ。ちゃんと数えたわけじゃないけど」
「恋愛には、詳しいよな」
「え、ええ。まあ、いろんな人と噂を立てられたことはあるけど」
シェリルはためらいがちに本題を切りだそうとするクランが可愛く見えた。
「そのビキニを見せたい人がいるのね」
シェリルの言葉にクランは慌てて首を横にふった。
「いや、そんなわけでは……戦場に相応しい武装を選ぶのはゼントラーディのたしなみだ」
「で、何を相談したいの?」
クランは顔を真赤にした。周囲にキョロキョロと目を配ってから、シェリルに囁く。
「あの、だな……二人きりの時に、色々……その、求められるんだ」
「何を?」
「アブノーマルっぽいことを」
「たとえば」
「うー……目隠ししたり、手を縛ったり……」
「ま」
シェリルも頬を染めた。
「この前なんか、こんなことまでされて……」
クランの告白にシェリルは聞き入った。
「これは普通のことなのか? 異常ではないか? お前に、こんな事を聞くのもなんだが、恋愛の専門家と見込んで……教えてくれ」
「一つ確認したいことがあるわ」
シェリルは落ち着くためにトロピカルジュースを一口飲んだ。冷えた果汁が喉を滑り落ちていく感触が心地よい。
「あなたは、どうなの? クラン。嫌? 止めて欲しい?」
「あ……そ、そうだな」
クランは少し考えてから、言葉を継いだ。
「嫌とか、そういうのではないが……別に傷つけられるわけじゃないし……ただ、不安にさせられる。でも、翌朝は、朝食をベッドに持ってきてくれたりして、いつも以上に優しいし……その、なんだ。嫌ではない」
シェリルはニッコリ笑った。
「じゃあ、問題ナシ、よ。愛する二人の間に禁じ手は無いもの。多分、あなたの恋人は、あなたに甘えているのよ」
「甘えている? そ、そうなのか」
「あなたの事が、とても好きで……ちょっと困らせたいのね。年下?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ、きっとそうよ」
「そうか、そうなんだ」
クランは、ほっと胸を撫でおろした。
その表情を見上げて、シェリルは今夜アルトを呼び出そうと決めた。


★あとがき★
拍手200get記念のお話。お題を下さったのは、うさぎ様です。
いかがでしょうか? ご希望に沿えたでしょうか? お望みなら、このあとエロな展開も可能です^^

14話、見ました。以下、ネタバレ気味なので注意。





アルトの男前度が200パーセントアップ(当社比)してましたね。きちんとシェリルを助けていたし。13話でかなり役立たずっぷりを披露していたので、アーマード装備VF-25で飛び立つところなんか、燃えました。
脇役に目を向ければ、ルカとモニカが告白するのしないのってやってましたし、まるで最終回前のようです。
SMSにも戦死者が出て、この後も戦闘となればハードな展開が予想されます。
シェリルとともにバジュラのフォールドに便乗して帰って来たミシェルは、意識不明で負傷。これは1話ぐらい寝込んでしまうかも。そのせいで、グレイスの動きがあやしいという情報が遅れて伝わるのでしょう。
ブレラも正体(?)を明かしたし、来週も見逃せません。
来週は新しいOP/EDになるのかな? こちらも楽しみです。
新OPの『ライオン』というタイトルからは、なぜか『オズの魔法使い』で登場した臆病ライオンを連想します。本当は力はあるのに、臆病な心を隠して振る舞うライオン。
EDの『ノーザンクロス』は白鳥座の別名でしょうか? 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、白鳥座から始まって南十字星を終着駅とする物語で、十字から始まって十字で終わるストーリーと評した人もいました。
どんな楽曲でしょう?

2008.07.11 


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