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ついに“その日”が来た!
美星学園の男子生徒(一部女子生徒)にとって、待ちに待ったその日が!
体育で水泳の授業が始まったのだ。
フロンティア船団の艦内環境は初夏に固定されているので、美星学園の場合、ホームルーム単位で順番にプールを利用している。プールはいつも賑やかで、スクール水着姿の生徒は年中見かけるから、珍しくもない。
だが、しかし、今年の学園には、銀河の妖精シェリル・ノームがいるのだ!

チャイムが鳴って、体育の授業時間が終わりを告げる。
男子用シャワールームは、声にならない溜息が充満していた。
「俺、生きてて良かったよ」
「美星に払った授業料取り戻した感じ」
「くぅ、銀河広しと言えど、シェリルさんのスク水姿を合法的に拝めるなんて、俺たちぐらいなものだよな」
今日の授業の感動を言葉にして確認しあう。
シャワーの水音に紛れて、おおっぴらに銀河の妖精のボディラインについて放談が交わされた。
「胸、大きいよな。プロフィールでDカップって書いてたけど、そんなサイズじゃないだろ?」
「私の見立てだと、Fはありますねぇ。案外、アンダーが華奢だし」
「腰の位置がたけぇ」
「メディア部の連中、木によじ登って見てたな」
「ああ。シェリルが、余裕の態度で手を振ったら、2人ほど落っこちてたぜ」
「投げキスで、あと3人撃墜されてた」
「撃墜王確定だ」
「女子が噂してたけど、学校指定の水着が身体に合わなかったからって、特注したんだって?」
「そりゃそうだろ。あれだけのスタイルなんだ」
「マリアも、今日ばかりは影が薄かったなぁ」
マリアは、キャビンアテンダントコースで一番の美女という評判の生徒だった。
男子たちは、てんでに勝手な事を言っている。
「って、ミシェル、お前、しれっとした顔して。感動しないのか?」
クラスメイトに話しかけられたミハエル・ブランは、いつもと全く変わらない様子だ。
「ああ、さすがだね。商品価値のあるスタイルって、ああいうのを言うんだろう」
「なんだ、テンション低いな、ミシェル
「まあな」
ミシェルは肩をそびやかした。発達した背筋がはっきりとわかる背中に憧れる女子生徒は多い。
「なあ、ルカ
「なんです、ミシェル先輩」
ルカ・アンジェローにはカールした頭髪をタオルで拭いていた。
「なんか、見慣れたよなぁ、俺たち」
シェリルさんの?」
「ほら、撮影の期間中」
アイランド3での映画撮影とドキュメンタリー撮影の期間中、ミシェルルカ、早乙女アルトの3人は、シェリルと顔を突き合わせて仕事をしていた。
ドキュメンタリーは、まだ放映されていない。
「いっつも水着みたいなファッションでしたものね」
「全くだ」
ミシェルルカが共通見解に達していた頃、長い黒髪から水気を絞っていたアルトは他の男子生徒に話しかけられていた。
アルト、お前、何とも思わないのかヨ?」
「芸能人の水着姿なんて、メディアでいっぱい露出してるだろうが。珍しくも無い」
「メディアで見るのと、生は違うダロっ、生はッ」
アルトは、少し考えた。
「大して変わらん」
「お前なぁ」
絡んでいた男子生徒は呆れた。次の瞬間、ある事に気付く。
「考えてみれば、お前、シェリルのライブで、あのカラダを抱き上げて飛んでたよな。だから感動が薄いのか」
「抱き上げるって…」
アルトは、瞬間、あの場面を回想した。
「でも、俺の手はEXギアのマニピュレータだったし、シェリルだってボディスーツを着てたんだぜ。ステージ衣装を投影するグレーのゴワゴワした全身スーツ。そんな色っぽいもんじゃねーよ」
「だとしても、あんな至近距離だぜ。この前だって…」
話題が、シェリルが校舎の屋上から落下したところを、EXギアを装備したアルトが見事に受け止めた事件にも触れる。
「あの時は必死で……あいつ、無茶するから」
「なんで、こんな感動の薄いヤツにばっか、美味しい役回りが回ってくるンだヨ」
アルトは無言で視線をそらして、話を断ち切った。
(他にも色々あったんだけどな)
シェリルとランカと退避壕に閉じ込められた時は、ものの弾みでシェリルの胸を生で目撃した。
撮影期間中に、シェリルと唇を合わせた事。
「どうした、アルト、顔が赤いゾ。今頃になって感動したのカ?」
「い、いやそんな事はない」
アルトは、かぶりを振るとシャワールームから出た。
「あれでも、一応意識してるんだな。まだまだガキだけどなぁ」
ミシェルの呟きを聞きつけたルカが振り返った。
「どうしました? ミシェル先輩」
「いや、何でもない。早く昼飯にしようぜ」
「はい」

2009.07.16 


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