2ntブログ
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SMSのブリーフィングルーム。
「お兄ちゃん…」
「言っておくが、俺は今でも反対だ。あんな物騒な場所にお前を行かせるなんて」
オズマは渋い顔を隠さなかった。
テーブルを挟んで、反対側に座っているランカの目は真剣で、決して退かない意志を秘めていた。
「他にいくらでも、お前よりネームバリューのある歌手は居るだろう?」
「だけど!」
ランカは拳を握りしめた。
アルト君とシェリルさんが大変なことに…あの二人がいなかったら、歌手のランカ・リーは存在していないもの」
「……お前が向かう所は戦場だ。しかも、敵がどこに居るかハッキリしない。厄介で特殊な戦場だ」
「うん」
「俺たちもベストを尽くすが、その上で、なお死の危険がある」
「判ってる。お兄ちゃんが、いつもいる場所だよね?」
ランカは、オズマが戦場に出る度に口にする“必ず帰ってくる”がごまかしではなく、優しい嘘であることに気づいた。
ランカ……お前は軍人ではない。だが、戦場に立つからには戦士だ」
「うん」
「戦士を送り出すには、昔からこうやるんだ」
オズマは立ち上がって背筋を伸ばし、非の打ち所の無い敬礼をした。
「骨は拾ってやる。行ってこい」
ランカも立ち上がって、見よう見まねの答礼をした。
「骨になったら、ファーストライブでカッコつかないよ」
体を翻すと、バルキリーに乗り込むべく駆け出した。
オズマは花嫁を送り出す父親の気持ちが判るような気がした。


★あとがき★
12話の行間を脳内で補完してみました。
惑星ガリア4の基地で起きた第33海兵部隊のクーデターで、アルトシェリルが人質として抑留された、という情報が入った時の情景です。
きっと、この時、オズマは初めてランカを一人前と見なしたんでしょうね。保護者に守られてばかりだった少女が、誰かの為に命を賭けて立ち上がる瞬間です。

シェリルの扱いがひど過ぎというご意見もありましたが、病でやつれたシェリルは美しかった(ぽわわわぁん)。
ええ、シェリル様なら、この程度のズンドコぐらい、いっくらでも這い上がってくれます。
雑誌の予告だと、13話はシェリルアルトランカを助ける回ですし。

ランカがガリア4に行くには、本人の志望があったのはもちろん、きっと大統領府(三島補佐官)あたりから怪しいプッシュがあったんではないかと。

ガリアはフランスの古名で、おそらくは(ローマ人から見て)野蛮人の土地というニュアンスがあるんでしょうね。
第33海兵部隊の部隊番号も意味ありげ。かつてのドイツ軍で懲罰部隊というのがありました。軍紀違反や戦場で犯罪に手を染めた兵士を収容する部隊で、伝統的にゾロ目の番号を与えられていたとか。
部隊長がオゴタイ少佐ってことは大隊規模なのかな。

最近、キャシーが酒飲んでクダを巻いている妄想が止まりません。
「元カレと今カレが登場したぐらいで、ビッチ呼ばわりなんて……世の中には●●が多過ぎよっ」
●●にナニが入るかは、ご想像にお任せします。

★補足★
14話に、このお話に相当するオズマの回想が盛り込まれていました。

2008.06.27 


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