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洗濯物をたたんでいる最中に、早乙女アルトシェリルのブラジャーを手にして眉間に皺を寄せた。
「何を難しい顔してんのよ」
振り向くと、仕事部屋から出てきたシェリル・ノームがアルトの手元を覗き込んでいた。
丈の長いTシャツの裾から、素足が出ている。
「何でもねーって」
アルトは頬を赤らめながらも、ブラジャーをたたんで片付けた。
「あー、夕べ上手く外せなかったの気にしてるんだ?」
シェリルは含み笑いしながら、人差し指でアルトの頬を突いた。
「気にしてない」
アルトはそれを無視して、残りの洗濯物をたたんでしまう。
「あら、そう」
シェリルは腕を組んだ。
「でも、ブラ外すのに手間取ってる男ってカッコつかないわよね」
「何、知ったかぶりしてんだよ」
お前だって経験豊富ってわけでもないだろ、とアルトは口の中で呟いた。
「あら、映画のラブシーンとか、そうでしょ?」
シェリルは手を伸ばして片手でホックを繋いで見せた。
「これ、ステージ衣装のアンダーに使えるタイプなの。だから、ここが特殊な形なのよね。つまんで上下にズラすようにすると、いいのよ」
ステージでの激しいダンスでずれない事と、素早い着替えに対応する、という矛盾する要求を両立させるための形状なのだろう。
「練習しとくのよ」
シェリルは手をひらひら動かして、オープンキッチンに向かった。
「ふん」
アルトは鼻を鳴らしてブラジャーをたたみ直した。
シェリルがミネラルウォーターをグラスに入れて、また仕事部屋に戻るのを視界の隅で確かめると、アルトはブラジャーを手にしてホックを繋いでは、外した。けっこう難しい。
何度か繰り返してコツが掴めてきたかなと顔をあげると、開けっ放しのリビングのドアの陰から、チラリとストロベリーブロンドの毛先が見えた。
「見えてるぞ」
シェリルは物影から顔を出した。
「練習の成果、期待しているわ」
パチンと派手なウィンクをして、今度こそ仕事部屋に籠った。
「ったく」
アルトは舌打ちしながら、たたんだ洗濯物をしまおうと立ち上がった。


★あとがき★
先日の絵ちゃでおしゃべりしたネタで思いついた小品です。
時期的には一緒に暮らすようになって、すぐの頃でしょうか。
フルオーダーのランジェリーが当たり前のシェリルですから、きっと凝ったのを着けているんでしょうね。

2009.03.19 


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