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美星学園芸能科の講師陣が出した課題は好きな曲のプロモーションビデオを制作せよ、というものだった。
使用曲は既存のものでも良いし、自作曲でもかまわない。
「いくわよ、アルト!」
「何でお前が張り切ってるんだ。航宙科なのに」
EXギアのトランクと撮影機材の入った自走コンテナを引きずりながらアルトがボヤいた。
先頭を行くシェリルが振り返った。
「一度、撮られる側から撮る側に回ってみたかったの。それに友達の課題を手伝うのも素敵じゃない」
シェリルの傍らでランカが表情を明るくした。
シェリルさん…ありがとうございます!」
「いいのよ。学校じゃ、お友達」
場所はフロンティア船団の農業リゾート艦・イーハトーヴ。
緑深い森の中の道を行く三人組。
課題を出されているのは芸能科所属のランカ
プロモーションビデオの監督兼カメラマンのシェリル
アルトは荷物持ち兼空撮担当。
「なんで俺まで引っ張り出すんだ。シェリルもEXギア手に入れたんだろ?」
「ご、ゴメンね、アルト君」
ランカが謝った。
ランカが悪いんじゃない。友達だからな、頼まれたら課題を手伝うぐらいはいいんだ」
「友達……」
ランカは繰り返した。素直に嬉しくもあり、ちょっぴり寂しくもある言葉。
「問題は、俺もお前もいつの間にかあいつに振り回されていることだ」
シェリルは澄ました顔で返事した。
「今日の私は監督だから、女優と連携がとりやすいように地上にいる必要があるの」
シェリルとアルト美星学園の制服、本日の主演たるランカは白いサマードレスに麦わら帽子、編み上げのサンダルという組み合わせ。
夜の内に降った人工降雨のおかげで、午前中の光の中、空気は澄み渡り、木々や草花はみずみずしさを増していた。
絶好の撮影コンディションと言えるだろう。
「この道の先に草原と丘、湖があるはずよ」
シェリルは携帯端末の画面に地図を表示させた。
その時、強い風が吹いた。ざぁっと葉擦れの音がして、大粒の水滴が大量に降ってきた。時間こそ短いが、スコールのようだ。
「きゃぁ!」
「ヤダ!」
ランカとシェリルが同時に悲鳴をあげた。
頭上を覆う大木の葉に昨夜の雨が残っていたようだ。
びしょ濡れになってしまう。
「大丈夫か?」
二人に遅れていたアルトは濡れずに済んだ。
「もう、油断できないわねっ」
シェリルは額に張り付いた髪をかきあげてアルトを見た。服が乾いているのを見てとると、アルトに向かって手のひらを上にして手を差し出した。
「なっ?……ああ、そうかよ」
アルトは諦め顔で制服のシャツを脱ぐ。

「覗いたらどうなるか判っているわね?」
シェリルが凄みきかせて言ってから、濡れた服を茂みの向うから投げてよこした。
「心配すんな」
上半身裸のアルトは服を受け止めると、手ごろな枝にそれをかけた。EXギアのパワーパックから炎を噴き出させ温風で乾かす。
「ゴメンね、アルト君」
ランカも服を投げてよこした。
「俺のパワーパックは乾燥機かよ」
ランカと初めて会った時のことを思い出した。

茂みの向うでは男子制服のシャツを下着の上に直接まとっているシェリルに、アルトが下着代わりに着ていたタンクトップを着ているランカがいた。
二人とも素足が大胆に見えている。
「シェリルさん、すごく……」
ランカがシェリルの姿を見て、頬を染めた。
「なあに、すごく…何なのかしら?」
シェリルは太い木の根に座って足をぶらぶらさせている。
「その……すっごくセクシーです」
女性としては長身のシェリルがアルトのシャツを着ると、男性にとってある種の夢を具現化したようなものだ。
「ああ、そうね、この格好。こういうのも面白いかも」
シェリルは立ち上がって、くるりと回って見せた。
「私、ずーっと歌のお仕事ばっかりだったから、グラビア撮影みたいなのも興味は、あったのよね」
こうかしら、と言いながら胸のボタンを一つ二つ外して、ランカに向けて前屈みになって見せた。
「わぁ……」
ランカはオズマが持っている雑誌のグラビアページを思い出した。シャツの合わせ目から胸の谷間がのぞく。
「ランカちゃんも、ポーズとってみて」
「ええっ……えーと、こう、ですか?」
木の幹に寄り掛かり、右足の足裏を木につけて、膝を上げる。タンクトップの裾がずり上がる。
「素敵だわ、男のハート揺らしまくりよ!」

「何やってんだ」
茂みの向こうが賑やかなのが、気になるアルト。


★あとがき★
素肌の上に男物のシャツを着けたシェリルを妄想してみました。
続編は、こちら『フォトジェニック2』です。

2008.05.24 


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