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最後の決戦でアルトたちはギリギリの勝利を収めた。
犠牲は決して小さくない。
だが、未来に希望は繋がってゆく。

ステージで待つシェリルの元へ急ぐアルトバルキリー
「あっ」
シェリルは悲鳴に近い声を立てた。
バルキリーは被弾しているのか、白煙を吹いている。
「早く着陸するか、脱出しなさい!」
ここからでは聞こえるはずはないのに、思わず叫んでしまう。
バルキリーは不思議な機動をした。
螺旋状に降下する。白煙が残した軌跡は、アルファベットのSに見えた。
バルキリーは急角度で上昇する。背面宙返りから、ガウォーク形態にシフトしてクルリと機体を翻し、再びファイター形態で背面宙返り。
急角度のパワーダイブを決めると、白煙はピタリと止まった。
Sの文字を囲む巨大なハートマークが空に描きだされた。
「あいつ……」
白煙は被弾したのではなくアクロバット用のスモークだ。
「意地でも自分の口から愛してるって言わないつもりね!」
ガウォーク形態で天から舞い降りて来る。強引にアリーナに着陸した。
キャノピーが跳ね上がると、アルトはEXギアの力でひと飛びにシェリルの元へ。
周りを意に介さず抱きしめた。
「あっ……アルト! 許さないわよ、ちゃんと言いなさい」
アルトの首に腕を巻きつけてシェリルは言った。息つく暇も与えずに唇を合わせる。
長いキスの後、アルトシェリルの耳に唇を寄せて囁いた。
「……バカ……なんでもっと大きい声で言わないの?」
シェリルが言い返すと、アルトは額を合わせて言った。
「歌や芝居のセリフじゃないんだ。お前だけに伝わればいい……お前…シェリルはどうなんだ?」
「同じ……同じに決まってるじゃない」
シェリルを横抱きに抱き上げると、アルトは再びバルキリーに乗り込んだ。
単座のコクピットで膝の上にシェリルを乗せる。
「いくぞ」
アルトの左手にシェリルも手を重ねる。スロットルを押しこみ、機体は上昇を開始した。
「ハネムーンは、しばらく先になるが、いいか?」
勝利を収めたものの、損害も大きい。
「一緒に居られるなら……でも、少しだけ、ハネムーンの予行演習したいわ」
限りない惑星の空を駆けるバルキリー
アルトは主恒星の角度を確かめると、白雲へと突っ込んだ。
キャノピーの外がホワイトアウトする。
やがて雲を突き抜ける。
「前を見ろ」
「……わぁ」
シェリルはため息を漏らした。
機首前方に鮮やかな虹の輪……飛行機虹が見える。
バルキリーは虹の彼方へ向かって飛ぶ。


★あとがき★
祐希さまのご期待に添えましたでしょうか?
アルトからシェリルへのプロポーズ、最終話辺りの感じです。
某掲示板に小ネタとしてアップしていたのを膨らませてみました。

★おまけ・間違ったプロポーズ★
最後の決戦でアルトたちはギリギリの勝利を収めた。
ステージで待つシェリルの元へ急ぐアルトバルキリー
「あっ」
シェリルは声を立てた。
バルキリーはバトロイド形態に変形してアリーナに着陸した。
右手の人差し指を立て、バルキリーの機体を指さす。
シェリルは小首を傾げた。
「え? 自分…って意味?」
バトロイドは両手を組み合わせる。
「え? 何、それ? ハート、かしら?」
操縦席ではアルトが焦っていた。
「しまった。直接、告るのはこっぱずかしいからって、バトロイドでジェスチャーゲームは、幾らなんでもツラいよな」

2008.07.04 


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